ミノキシジルは、皮膚科学の社団法人日本皮膚科学会が2010年に作成した「男性型脱毛症診療ガイドライン」の中で、外用療法の第一選択薬として用いるべきであると評価された成分です。
元々は高血圧を改善するための内服薬としてアメリカで使用されていたのですが、脱毛症に対しての効果が確認されたために、こちらで用いるのが主体となっています。

ちなみに、脱毛症を対象として使用する場合も当初は内服薬として提供する予定だったのですが、動物実験で犬が心臓破裂により死亡するというアクシデントが発生したために、外用タイプで商品化されています。

ミノキシジルには効果が期待できる一方で、リスクがあることも特徴です。
流石に人間が使用して心臓が破裂したというケースは発生していませんが、循環器系に副作用が生じたという報告はこれまでに数百件以上も寄せられているということが、平成15年の国会で明らかになっています。

ミノキシジルの副作用は、このような重篤なもの以外にも様々な種類の症状が報告されています。
具体的には、むくみ・不整脈・ニキビの増加・胸の痛み・性欲の減退・体重の増加などです。
これらは、血圧が急激に変動することで引き起こされると考えられており、使用量が多いほど発症頻度が高くなるので、使い過ぎの目安になるとされています。

なお、副作用というほど危険な症状ではありませんが、ミノキシジルを使用した人の多くに表れるのが体毛の増加です。
耳や背中、指の第一関節など通常であればあまり生えない部分の体毛が黒々と成長するケースも起こり得ます。
これは、ミノキシジルの効果が体毛にまで及んでしまったことによるものです。

このようなミノキシジルの髪の毛を含んだ体毛に対する効果の仕組みは、現在でも詳細な部分については不明ですが、男性ホルモンに対して直接作用するわけではありません。
このために、悪玉男性ホルモンの影響を強く受ける生え際部分より、頭頂部の薄毛に対して有効です。

ミノキシジルの副作用と使用時の注意点

ミノキシジルによる育毛効果は、国内の製薬メーカーが実施した5%製剤を用いた臨床試験によると、24週間の時点では著名改善2.1%・中等度改善47.9%・軽度改善41.7%だったのが、52週後では著名改善11.1%・中等度改善66.7%・軽度改善20.0%というように使用期間が長くなるほど有効性が高まることが判明しています。

進行した状態からの回復を期待しているのであれば、かなり長期的に使用しなくてはならないということになります。
ミノキシジルによる育毛効果は使用中のみ発揮するという種類のもので、止めてしまうと再び薄毛が進行します。
つまり、満足できる状態にまで回復できたとしても、これをキープしたいのであれば使い続けなければならないということです。

このようにミノキシジルによる脱毛症の治療は長期間の使用が必要となるのですが、副作用が発生した場合は状況は変化します。
特に、多毛症やニキビの増加以外の症状が発生した場合は、直ちに使用を中止して医師の診断を受けるようにするのが賢明です。

常に最悪の事態を想定しながら使用しなくてはならないので、個人輸入などで購入するのではなく、クリニックで医師から処方してもらって入手するのが適当です。
個人輸入で購入できるタブレットタイプはそもそも脱毛症の治療薬ではないので、薄毛を改善するために使用するのは止めておいた方が無難です。

タブレットタイプを処方しているクリニックも存在していますが、国内では現在でも認可されていません。
このようなクリニックでタブレットタイプを処方してもらい異常が生じた場合は、飲み方についての指導を受けることが考えられます。

しかし、国から認可されていないタブレットタイプのミノキシジルを服用して、死亡したり重大な副作用が残った場合は医薬品副作用保護制度を受けることは出来ません。
このために、飲み方を工夫するなどの小手先の対処をするのではなく、そもそも利用しないようにするのが最善です。